イングロリアス・バスターズを見てみた

いつもは観賞メーターに感想を書くのですが、長すぎて書ききれなかったのでここに書いておきます。

イングロリアス・バスターズ
まず最初にこの素晴らしい映画を撮ったクエンティン・タランティーノ監督に謝罪の意を表明したい。この映画を見るまで最近のタランティーノは才能が枯渇したよねー。と申しておりました。殴られた記憶もろくにないくせに申し訳ございませんでした。

さて、イングロリアス・バスターズは「ナチスに家族を殺されたユダヤ系の少女」と「ドイツ占領下のパリに潜入し、ナチスの軍人を始末する部隊"バスターズ"」の2つの軸を持つ群像劇である。
この映画からテーマを読み取ることは難しい。(あるいは無いのかもしれない。)
なぜならばイングロリアス・バスターズナチス・ドイツを題材にしているが、いわゆる「戦争映画」の下敷きを敷いていない一風変わった構成になっているからだ。
主人公の一人であるショシャナ(メラニー・ロラン)に焦点を当てれば復讐劇であるが、もう一人の主人公であるアルド・レイン中尉(ブラピ)に焦点を当てるとまた違ったジャンルとなる。そしてこの映画は悲劇でもなければ喜劇でもない。

だかといってイングロリアス・バスターズは決して中途半端な作品ではない。まだ見ていない人のためにネタバレは差し控えるが、ストーリーが練り込まれており、映画としての「見せ方」も素晴らしい。そして登場人物の粋な言葉のキャッチボールは涎モノである。いや、お見事。

私はタランティーノ作品の中ではパルプ・フィクションが最も好きだ。今まで見た映画の中でBEST10を決めるとしたら、その中にパルプ・フィクションは必ず入れる。
このイングロリアス・バスターズパルプ・フィクションに勝るとも劣らない傑作である。